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自粛ムード反対は正義か?いつまで続くか心理的ブレーキ

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熊本の地震の被害が強まっている。やまない余震に、被災地の方々は本当に不安な思いをされていることだろう。極めて大きな揺れが2度あり、それから震度4レベルの余震が頻発している。次もまた大きい揺れがくるのではないかという心配を持ちながら、夜も眠れない。避難生活が続くと、慣れない生活へのストレスと地震への不安からくるストレスが相まって、些細なことでイライラすることも増える。

そうした被災者を思いやってか、はたまた批判をかわしたい事なかれ主義か、「自粛ムード」なるものが強まっている。「自粛ムード」は、東日本大震災の時に生まれた言葉だ。もちろん、「自粛をするムード」という意味で、東日本大震災以前にもこの言葉を使った人はいるだろうが、「天災に伴うもの」としての意味は3.11の際に付け加えられたものと言ってよいだろう。

ホリエモンや本田圭佑など、この自粛ムードに反対を掲げる人がいる一方、それでも自粛を決定する企業やイベント主催者が存在する。中には「自粛ムード反対論者は反日」とまで論じる人もいる。また、いつまで自粛ムードを続けるのかという問題もある。少し考えてみたい。

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自粛ムードは何のため?

表向きの理由

自粛ムードによって、活動を控える企業やアーティスト、イベント主催者は非常に多い。熊本地震に際しても、多くのイベントや番組が中止となった。彼らは何のためにこれらを中止にしたのだろうか。

表向きには「熊本が大変な時に自分たちだけ楽しそうにしているのは不謹慎」「熊本が大変な時にお祝いをするのは不謹慎」など、「喪に服す」意味合いが強いと考えられる。こうすると、「喪に服すなんて日本だけの文化だ。バカバカしい。ポジティブな行動をとるべきだ。」と言い出す人が出てきそうだ。

しかし、喪に服すのは、何も日本だけの文化ではない。9.11やカトリーナの大災害の後のアメリカにも、イベント自粛の動きはあった。人が亡くなれば、世界中誰でも喪に服す。この感情自体は、人間に生来備わっているものなのかもしれない。熊本の地震でも数十人が亡くなっている。イベントの自粛をすること自体は、前例にならえば自然なことだ。

ここで疑問に思うのは、他にも数十人規模で死者を出している事故はあるのに、必ずしもイベント自粛の動きがあるわけではないということだ。

例えば、2005年に起きた福知山線脱線事故。107名の死者を出した、大規模な鉄道事故だ。この時は、目立ったイベントの中止はなかった。もちろん、一鉄道会社が起こした事故と、広範囲にわたる震災では影響が違うというのもわかる。しかし、この事故のたった数日後に、テロリストに乗っ取られた暴走列車で人々がパニックになる様子が描かれた映画「交渉人 真下正義」が放送されている。(これはこれで物議をかもしたのだが・・・)

大勢の人々が不安に思っているのは、同じことだ。大勢の人々が不安に思うことが自粛の理由なら、台風が来る時も、北朝鮮がミサイルを撃つ時も、自粛をしなければならない。台風なども死者を出すことは十分にある。震災だけがなぜ特別なのか。

確かに、震災は特別かもしれない。3.11で、街が津波に流された風景は、日本人の心に刻み込まれた風景だ。2万人に近い人が亡くなった、非常事態だった。

「その時と状況が違う」という反論も聞こえてきそうだが、喪に服す気持ちから生じるのであれば、時代は関係ないはずだ。時代が関係あるとすれば、理由は一つしか見当たらない。

本当の理由は?

自粛をする人々の真の理由は、「不謹慎批判を盾にした人々から文句を言われるのが面倒だから」この一言につきる。これは真理だろう。そして、時代とともに、不謹慎批判を盾にした人々が文句をいう機会が増えてきているのだ。

スマホにより、インターネットが手のひらサイズになったことで、インターネット空間で発信する人間の数は格段に増加している。そしてそれは、数の増加にとどまらず、質の低下も招いた。これまで、チラシの裏にすら書かなかったような戯言を、個人が簡単に公的空間に発信できるようになったのだ。

それが、何か目立った人や企業を「叩く」という文化を作り上げた。自粛ムードは、ネット社会が作り上げたものだ。この点だけは、本記事において唯一疑いようのない箇所だと思われる。

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自粛ムードはいつまで?

とはいえ、自粛ムードは事実依然として存在する。いったい我々はいつまで自粛ムードに付き合わなければならないのだろうか。

今回の熊本地震について言えば、まず余震が収まることが大前提となる。その後1週間ほど経てば、自粛ムードはなくなるだろう。東日本大震災の時と違い、津波がない分、被害が少なく見えるからだ。マスコミはもっと早く切り上げるのではないだろうか。3.11と違い、津波ほどの衝撃的な映像がないからだ。なんとも情けない話であるが、おそらくその通りになるだろう。

この土日に、来週の遊びの約束を躊躇した人も、週があけて次の土日になれば、そんな思いを持ったことも忘れて、再来週の遊びの約束を入れるようになる。おそらくその通りになるだろう。

あと1〜2週間ぐらい、というのが答えになるはずだ。

自粛ムードに正義はあるか?

自粛ムードは、先に述べたように、ネット社会が産み出したものだ。それを構成する容赦のない無価値な発言に、正義はない。自粛ムードに正義はない。

この自粛ムードも、避難所生活が続く人々を残したまま、去っていくだろう。

本当に正義といえる震災への向き合い方があるとすれば、継続的に細く長く支援することだ。募金でもいい。避難所生活を強いられ続ける人を思いやることでもいい。

少なくとも、震災情報を伝えるテレビ画面の外側の枠が消えたからといって、倒壊した家が修復されるわけではないことをしっかり理解しておくことも、正義のある行動の一つだ。極めて情けない話ではあるがーー。

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