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豊洲市場問題は石原慎太郎の責任だった?過去の発言が問題に

豊洲市場の建物の地下に土壌汚染対策の盛り土がされていなかった問題で、今度は当時の都知事石原慎太郎氏の発言が物議をかもしている。以前からその発言に良くも悪くも注目が集まる石原氏であるが、今回ばかりは失言では済まされない事態に発展しそうな雲行きである。

豊洲市場問題は石原慎太郎の責任だった?

13日にBSのテレビ番組に出演した石原氏は、今回の盛り土問題を「聞いていません。僕はだまされたんですね」と発言。自分は盛り土をしないという報告を受けていなかったと示した。他にも「していない仕事をしたことにして予算を出した。その金はどこに行ったのか」と都を批判し、しまいには「都の役人は腐敗している」と辛らつな言葉を吐いた。

しかし15日になって、石原氏が2008年5月30日の定例会見で、「コンクリートの箱を埋め込む」案を披露。担当局長に提案したと話していたことが発覚した。その10日ほど前の19日、専門家会議で盛り土案が提示されていたにも関わらず、である。

この過去の発言に対し、15日午後自宅前での取材に答えた石原氏は一転「専門家じゃないんだから、俺はしてねえよ」と一蹴。「都の役人からそういう情報を聞いたから、そういう意見があると取り次いだだけ。全部下に任せていた。建築のいろはも知らないんだからそんなことを思いつくわけがない」と釈明した。

また、「急に設計事務所を変えたことで、盛り土をやめて下に訳の分からないものを作った。盛り土を作るより経費がかかり、ゼネコンが儲かる」と持論を展開。さらに、設計事務所を変えたことも知らなったと明かした。つまり、「専門家会議が出した土壌汚染対策として盛り土をするという提言を、石原氏は聞いておらず、たまたま都の役人からコンクリートの箱を埋める案を聞いたから、自分は会見でそれを披露しただけ。そして、知らない間に設計事務所が変わっていて、知らない間に訳の分からないものを作っていた」。ということだろうか。ものすごく釈然としない話である。

石原氏は当時の東京都知事である。東京都の職員のトップである知事が、中央卸売市場の移転という一大プロジェクトに関して「知らなかった。聞いていなかった」で済むものだろうか。

下町のスーパーマーケットのお引越しの話ではない。東京都民の台所とまでいわれる巨大市場の移転である。いくら「全部下に任せていた」とはいえ、報告が上がっていなかったということは考えにくい。今は知事の職を退いているとはいえ、このような無責任な言い逃れが通用していいものだろうか。ちょっと目新しい情報を聞いたから軽い気持ちで発表しただけ、そんな言い分が通るわけもない。

知事の発言がその下で働く職員に与える影響力、プレッシャーは決して小さくない。しかし、そのことを記者に指摘された石原氏は「プレッシャーじゃありませんよ。下から言われたからそうなった。誰がどこに相談して変えたのかわかりませんよ」反論し、「東京都は伏魔殿だね」と捨て台詞を残した。自分がその伏魔殿の長だったことは最早お忘れのようだ。

過去の発言が問題に

ここで、今回の石原騒動の発端ともいえる2008年5月の石原氏の発言を振り返ってみる。5月30日の定例会見で、石原氏は土壌汚染対策について海洋工学の専門家がインターネット上で述べていたことを紹介。「もっと違う発想で物を考えたらどうか。土を全部さらったあと、コンクリートの箱を埋め込みその上に市場としてのインフラを支える。その方がずっと安く早く終わる」というものだった。

2016年9月15日の石原氏の釈明によると、この案は市場長からの提案であり、「建築のいろはも知らないんだから」自分の思い付きではないということである。しかし、当時東京都中央卸売市場長だった比留間英人氏は「石原氏から『こんな案があるから検討してみてくれ』と指示を受けた」と話している。知事の指示は主に対策費の圧縮だったという。

一方で専門家会議は、「建物下を含め、敷地全体の盛り土が必要」との提言をまとめ、2008年7月に解散している。比留間氏はその翌年2009年の1月か2月頃、費用がかさむことを理由にこの案を採用できないと回答したという。この流れを見れば、2009年の時点でコンクリート案は却下されたように思えるのだが、2008年7月に招集されていた技術者会議はなぜかその案を捨てず、2011年3月に「地下空間を前提とした建物の基本設計」の入札を開始、11月には対策工事が始まっている。

食い違っている見解、無視された専門家会議、無視した技術者会議。全て石原氏の任期中の出来事である。予算の削減を図った石原氏の思惑がどこかに働いているのではないか、そう勘繰りたくなる。しかし予算は膨張する結果となったのだが。

「言った」「言わない」と責任のなすり合いの様相を呈してきたこの問題だが、なすり合うまでもなく、この責任は双方にある。なぜなら彼らはその時その場にいた、当事者だったからだ。今はその職にないから関係ない、そうは通らないのである。だまされたのは石原氏ではない。市場関係者であり東京都民なのだ。

だが、今責任論を持ち出しても仕方がない。盛り土はされずコンクリートの箱は埋められているのだ。幸い、今地下空洞に溜まっている水からベンゼンなどの有害物質は検出されなかった。だが今後のことは誰にも分からない。元都知事の不始末を現都知事がどのように片付けるか、注目したい。

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