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スマイリーキクチという芸人を知っているだろうか。第一線で活躍している芸人ではない。しかし、ある事件がきっかけでその名前が知られることとなった。
その事件とは、「女子高生コンクリート詰め事件」だ。スマイリーキクチの名前は知らなくても、この事件の名前を知っている人は多いだろう。1988年頃に起きた、非常に悪質で凄惨な事件だ。普通の女子高生が、大勢の未成年に人権を踏みにじられ命を落とした事件だ。あまりの凄惨さであり、事件の詳細をここで語ることはしたくない。
今回爆報フライデーで芸人Sとして話題となったスマイリーキクチは、この事件の加害者であるという噂を立てられ、10数年もその風評被害と戦ってきた男だ。スマイリーキクチの半生は、この女子高生コンクリート事件とともにあったといっても過言ではない。彼の、不条理でありながらも優しさに満ち溢れた半生について、まとめてみようと思う。
スマイリーキクチはなぜ犯人と疑われたのか?
スマイリーキクチは、10数年間、この女子高生コンクリート事件の犯人だと噂されてきた。その理由の一番大きな要因は、実際の犯人が全員未成年で、本名が明かされなかったことだ。本名が明かされないために、インターネットや噂で、不確かな「犯人の名前」が広まった。その中の一つに「菊池聡」という名前があり、それがスマイリーキクチの本名と同じだったのだ。
さらにひどいことに、事件について書かれたノンフィクション本の中に、「犯人グループの一人は、出所後芸能界に入っている」と書かれたのだ。この二つの要因から、スマイリーキクチが犯人だったという憶測が広まったのだ。
当時は1990年代後半。インターネットが一般に普及し始めた頃だ。インターネットには現在も玉石混合の情報が溢れかえっているが、当時はそれほど情報の峻別ができる人が多くなかった。インターネット上で、先に述べた二つの情報が載っていたら、スマイリーキクチを犯人だと思い込むひとがたくさんいたのだ。
事務所のHPや、自身のブログにも誹謗中傷の嵐。まともな芸能活動ができないレベルまで追い込まれた。警察に相談しても、当時はインターネットの誹謗中傷に対する認識も低く、門前払いを受ける日々。
最終的には、辛抱強い訴えが認められ、2008年に名誉毀損で19人を検挙するに至ったものの、結果的には不起訴処分に終わった。しかしそれ以来スマイリーキクチへの誹謗中傷は大きく減り、名誉の回復をすることはできたようだ。
きっかけは、信ぴょう性のない情報から、尾ひれがついて噂が広まったことだった。インターネットも普及する前であり、全国的に情報リテラシーの低い時代の出来事だったとはいえ、非常におそろしい話だ。
スマイリーキクチは人生で得難い経験をしたという見方も
自分がスマイリーキクチの立場であったらと考えると、とても耐えられないのではないかと思う。スマイリーキクチは2011年に10年以上も交際していた一般女性と結婚したのだが、常に誹謗中傷と戦いながらも愛を育んできた。
一時はスマイリーキクチへの殺害予告なども発生し、恋人としても一緒にいるだけで危険にさらされることもあった。そんな困難な中でも自分の道を見失わず、謂れなき誹謗中傷と戦い、見事その風評を跳ね返したのだ。
この裏には、スマイリーキクチの信念があったのだろう。スマイリーキクチは震災後に結婚し、ハネムーンには福島県を訪れたそうだ。ハネムーンで福島というと、疑問に思う方も多いと思うが、彼なりの思いがあった。風評被害で苦しむ福島、誰も本当に福島が危険かわからない。ならば自分から出向いて、その目で見てみよう。
これが、スマイリーキクチとご婦人が、10数年も謂れなき誹謗中傷と戦って得られた、信念だった。
芸人として笑いを提供する以上に、彼の生き様は我々に教訓を与えてくれる。