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世界中が熱狂した2016リオデジャネイロオリンピック。メダルラッシュに沸いた日本だったが、中でも女性として初のオリンピック4連覇を果たした伊調馨選手が決勝戦で大逆転したあの5秒間は、リオオリンピックを代表する名シーンになった。
対照的に同じく4連覇を目指して戦ったものの惜しくも決勝戦で敗れ、銀メダルに終わった吉田沙保里選手。泣きながらインタビューに答え何度も謝罪する姿は、見る者の胸を打った。
その吉田選手が昨年末に所属していたALSOKを退社することを発表した。その退社理由について様々な憶測が飛びかっている。
吉田沙保里とアルソック
吉田沙保里と言えば、霊長類最強女子とさえ呼ばれるほどの強さで、オリンピックで連覇こそ逃したものの世界選手権では現在13連覇の記録を更新中である。この記録はギネス世界記録にも認定。2012年にはこれらの功績を称え、国民栄誉賞を授与されている。
このような輝かしい功績を持ちながらも、テレビやCMなどにも主演して気さくな人柄を見せているが、その中でも最も印象強いのが所属していた警備会社ALSOKのCMだろう。
このCMで吉田選手は、「安心戦隊ALSOK」に扮して、巨大化したり天井に張り付いたり目から光線を発射したり、また同じく所属選手の伊調馨らと「ALSOK体操」を披露したり、商店街の人々をフラッシュモブで驚かしたりと大活躍である。
吉田沙保里と言えばALSOK、ALSOKと言えば吉田沙保里。そう言えるほどそのCMは視聴者に定着していたのだが、昨年12月にそのALSOKを突然退社しフリーになった。退社の理由について吉田選手は「いろんなことに挑戦したい」と話している。しかしその言葉の裏には何か他の事情が隠されているのではないか。
退社の理由は年収にある?
「いろんなことに挑戦したい」という言葉の裏には、これまでおかれていた立場から受けていた色々な制約がうかがえる。例えばCM出演ひとつ取ってみても、自社のCMに出演するのは当然ながら、ALSOKの企業イメージや、同社がJOC(日本オリンピック委員会)のスポンサーであるという事情から、他社のCM出演の範囲も限定的になる。
ギャラの問題もある。いくら戦隊ヒーローになっても体操を頑張っても、所属する会社のCMだから当然ギャラは発生しない。吉田選手ほどの知名度と人気があれば1社あたりのCM出演料は数千万円程度をも見込めるという。既にいくつかの会社からのオファーもあるといわれ、その契約金は年棒制の契約だったALSOKから得ていた給料とは比較にならない程の額だと思われる。
また、テレビ番組などへの出演もフリーになれば自由に選択できるようになる。退社後にマネジメント会社と契約を結んでおり、最近ではバラエティー番組などへの出演も増えている。
金銭的な理由ばかりが全てではないだろう。先を読みすぎかもしれないが、もしかしたら引退後の活動のことも考えて、強くついてしまったALSOKのイメージから抜け出すことを目論んだのではないだろうか。
引退と言えば、フリーになることで引退への制約がなくなるという点も見逃せない。4連覇を逃し引退がささやかれていたが、吉田選手は「東京オリンピックに出られるものなら出たい」と現役続行への意欲を見せている。引退することはないとも宣言したが、今までと違い自分で引き際を決められるという自由が、今後の選手生活への良い影響を与えるのではないだろうか。
自身は金メダルを逃したものの、一緒に練習し指導をしてきた後輩たちが3つの金メダルを獲得した。吉田選手を見てレスリングを始め、吉田選手を目標に厳しい練習に耐えてきた後輩たちの得た金メダルの半分は、後輩たちが見てきた吉田選手の背中に送られたものだと思う。
東京オリンピックを目指すという彼女の意欲は頼もしい限りだが、世界中の女子レスリング選手が吉田選手を倒すために技を磨き研究を重ねて挑んでくる。もう簡単にメダルなど取らせてもらえないだろう。
だからこそ、東京オリンピックに出たならば今度は自分自身だけのために戦ってほしい。メダルへの期待を押し付けるメディアなど無視して、オリンピックを純粋に楽しんでほしい。日本中がそう望んでいるに違いない。