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「申し訳ありません。僕はこの本をどう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら「面白い」「魅力的だ」と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました」
表紙がびっしりと文字で埋め尽くされた本。名付けて「文庫X」が話題になっている。タイトルは隠されている。作者も分からない。しかし、この本を読んでほしいという思いが強く伝わってくる。このカバーに隠された本の正体は一体・・・
文庫Xとは
この方法で本を売り始めたのは、盛岡市にある、さわや書店フェザン店である。書店員が手書きしたブックカバーに隠されて、本のタイトルも作者も出版社も分からない。価格は810円。買ってみて初めてその中身を知ることができるのだ。
この本の魅力を熱く訴えているこのカバーは、入社2年目に入ったばかりの書店員、長江さんの発案でアルバイト店員が清書、モノクロコピーしたものを手作業で裁断して仕上げているという。
プライベートでこの本を読み、誰にでも読んでもらいたいと考えた長江さんだったが、この本は広く興味を引くようなテーマだとはいえないノンフィクションだった。普通に売場に並べたのでは手に取ってもらうことも難しいと考えた長江さんは、あえて書籍名を隠して販売することを思いついたのである。
その逆転の発想と、手作りのカバーに書かれた熱い思いが人目を惹き、60冊が5日で完売。その後も異例の売れ行きを見せ、同店では1600冊もの「文庫X」が人々の手に渡っている。
全国の書店に文庫Xが
この取り組みは書店員のネットワークを通じて、全国の書店に拡大している。北は北海道から南は沖縄まで、30都道府県の200店舗以上で販売されているのだ。
それぞれの店で独自のブックカバーが付けられて販売されている「文庫X」、そのカバーにはやはり書店員達の熱い思いが綴られている。その独特な販売方法が成功をおさめた結果、それに便乗しようという店が出てくるのは当然の流れなのだが、そのカバーを読むと、それを書いた書店員が発案者である長江さんと同じ思いであることが分かる。つまり、読んだら誰でも人に勧めたくなる、優れた内容の作品であるということである。
本は順調に売れ行きを伸ばし、今では5刷、5万5千部にまで達している。
文庫Xの中身は?ネタバレは?
ここまで話題になっている本である。中身が気になるのは当然で、買う前からこの本の中身を探ろうとする人々が続出している。
例えば、本の裏表紙に印刷されているバーコードから情報を読み取り、そのバーコードを手掛かりに、通販サイトで検索して「文庫X」のタイトルを突き止めた人など。
しかし、その中でそのタイトルをネタバレと称して公表している人は少ない印象を受ける。これは書店側にとっては嬉しい誤算なのではないか。この本を購入したというツイートも多くあるが、タイトルや内容を公表しているものは見かけない。
皆、この方法を選んだ長江さんと全国の書店員の思いをしっかり受け取っているのだろう。また自分だけが知っているという優越感も、少しは作用しているのではないだろうか。
また、「文庫X」は販売されている店ごとに違うのではないかという説もある。そのためネタバレがされないというのである。この説が真実かどうかは分からないが、この方法の成功を受け、次なる「文庫X」が各書店で生まれる可能性は高いだろう。
さわや書店フェザン店では、12月9日に「文庫X開き」と称して、本についての全てを公表する予定であるという。しかし、それまで待てないという人も多いだろう。
この本を多くの人に読んでもらいたいと願った長江さんは、あえてタイトルを隠すという方法をとったが、逆にここでタイトルと内容を知ったことで興味を持つ人もいるのではないかとも考えられる。そこでタイトルの一部と内容を少しだけここに書いてみたいと思う。
タイトルは『○○○はそこにいる』1979年以降に北関東で起きた連続幼女誘拐殺人事件に関して書かれた作品で、犯人とされる人物は証拠不十分なまま逮捕されており、実は真犯人が別に存在するといった内容である。
このネタバレによって、手作りカバーがついた「文庫X」ではなく、正規のカバーのままの本書の売り上げが伸びるという現象が起こったとしたら面白い。