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共産党議員の藤野保史氏が、テレビ番組での発言をめぐって炎上している。NHKの討論番組「日曜討論」で「防衛費は人を殺すための予算だ。」と発言したのだ。
これに対し、与党である自民党と公明党の政策責任者である稲田朋美と石田祝稔が激しく批判。ネット上で炎上騒動も発生してしまい、結果的に藤野保史は発言を取り消すこととなった。
共産党の議員が、彼らの信条に沿った発言を撤回することは稀であり、今回発言撤回があったことは意外に思ったが、確かに「人を殺す予算」というのは表現が不適切な感が否めない。
一方、この発言がそれほど間違ったものなのかというと、必ずしもそう言い切れるものではないという気もする。この点について考えてみたい。
藤野保史が炎上した理由は?
藤野保史が炎上した際の発言は「人を殺すための予算でなくて、人を支えて育てる予算を優先する改革が必要だ」というものだった。防衛費が5兆円を上回る現在の与党の政策を批判したものだ。
これに対し、与党側から猛反発。発言の撤回を求める声が番組中に上がったものの、番組内では発言を取り消すことはなかった。番組終了後、共産党の広報部を通じて文書で「不適切な発言であり、取り消す」ということが発表された。
炎上している理由は大きく二つに分かれる。一つは、当初の批判通り「防衛費が人を殺すための予算というのはあまりに不適切な発言だ」というもの。
もう一つは、「防衛費は事実人を殺す予算であり、発言の取り消しを行うなど許せない」というものだ。
当然、主義主張が違えば、特に憲法9条周りの解釈の違いによってこの反応の違いが出てくる。与党側の反応は、改憲を目指す彼らのスタンスからすれば自然な流れであり、この発言が受け入れられないものであることはよく分かる。
今回取り上げたいのは二つ目の理由、「発言の取り消しを行うなど許せない」というものについてだ。
防衛費は人を殺すための予算か?
断言するが、防衛費は人を殺すことを念頭においた予算であることは間違いない。国家において自国民を守るために武力をもつということは、すなわち侵害者を殺すことと同義だ。防衛費が人を殺す予算ではない、などとは本来言えるはずがないのだ。
本来であれば、共産党などは失うもののない政党だ。資本主義が根付いた今の日本社会において、共産党が与党になることは99%ない。ほとんど、常に野党であることが確定している。多少ネットで炎上したところで、彼らが失うものはない。それこそが共産党の強みであり、時に切れ味鋭い質問で与党をけん制する。そこに存在意義のある政党なのだ。
にもかかわらず、今回、彼らの主義主張からすれば絶対に折れてはいけないはずの論戦で折れてしまった。早々に文書で発言の取り消しを発表してしまったのだ。このことに対し、左派系の人々から強い批判が上がっている。
日本の右傾化が止まらない?
とはいえ、この発言が取り消しにならざるを得ない日本の現状もなかなかすごいものがある。一昔前、日本の言論空間で憲法改正を主張する人は、あたまのおかしな人というレッテルを貼られていた。ところが、いまや憲法改正が現実味を帯びてきている。一時期と比べると、日本の右傾化は非常に強まっている。自民党が与党に居座り続ける限り、その傾向は変わらないだろう。
とはいえ、自民党自体の求心力が下がりつつあることも確かだ。特に消費税増税を見送ったことは、自民党の弱気を象徴する。消費増税もできないようであれば、憲法改正など夢のまた夢。
今後の参院選の成り行きを見守りたい。