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先日、ニュースで大きく取り上げられたのが、「中央省庁による障害者雇用率の水増し問題」です。
今回は、障害者雇用の法律をもとに、具体的に障害者雇用の水増しはどんな不正なのか?ということについてまとめていきます。
障害者雇用率制度とはどんな法律?
元々は1976年に定められた法律で、障害者雇用率制度という名称の国のルールです。
障害者への差別を禁じ、就労機会を広げるのが目的で法律が制定されました。
国で定められた「法定雇用率」は、民間企業で全雇用者数の2.0%以上。
国や地方公共団体などで2.3%以上、都道府県等の教育委員会が2.2%以上の障害者を雇用しなさいという法律です。
この障害者雇用率未達成の企業には、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。
120人の労働者がいるのに、一人も障害者を雇用していなければ、100×2.0 %=2人×50,000円=10万円のお金を国に納めなくてはならないということです。
水増し問題の概要
水増し問題は、民間企業ではなく、国の中央省庁の問題です。
総務省や国土交通省などの中央省庁は、民間企業の模範となるため、民間の法定雇用率よりも高い2.3%で設定されています。
しかし、その模範となるべき中央省庁が、過去42年間にわたり、2.3%の障害者雇用率を水増しして発表していたことが発覚したのが、今回の問題の発端です。
法定雇用率に達していない事業主は、馬鹿正直に労働者数×2.0%×50,000円を支払い続けていたということになります。
法定雇用率に達していない企業は、50,000円の納付の他にも、官報と呼ばれる国の新聞に企業名が掲載されることもあったため、今回の問題は、日本の企業から激しい反発が起こっています。
また、国際レベルでも障害者差別禁止条約や、障害者差別禁止法に反する可能性があるため、今後の報道如何によっては、まだまだ障害者雇用率の水増しは増えてくるであろうと指摘されています。
中央省庁の言い分では、大企業のように子会社(下請け行政企業)の雇用数を合算できなかったことや、拘束時間の長さなどの特性を言い訳にしています。
国を挙げて、障害者の健全な社会参加を謳っていた省庁が起こした不正問題として、世間から厳しい目を向けられています。
今回の報道を見て、個人的に思ったのは、やはり今の日本には国民を先導するリーダーシップはないということです。
リーダーシップは、敬意と信頼がなければ成り立ちません。
模範的な障害者雇用率を掲げて、嘘の情報を公開していた時点で「信頼」は0ですし、そんな省庁に対して「敬意」を持つことはできません。
障害者雇用という厳しいハードルを企業が達成しているのに、省庁ができていないのに、ペナルティも受けていないのでは、話の筋道が違うということにもなります。
カジノ法案などの法律を制定させるよりも先に、障害者雇用の在り方について、もう一度議論するべきなのではないでしょうか?
今の日本政府には、まず無理だと思いますが、一番悲しんでいるのは、当事者である障害者の方々です。
障害者の方たちの気持ちになって考える必要があると感じた今回の報道でした。