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3月26日開業予定の北海道新幹線が避難訓練のための試験走行中に、緊急停止をするトラブルが発生した。開業を約一ヶ月後に控えた中でのトラブル発生に、関係者は青ざめているようだ。
今回のトラブルは、運行マニュアルが徹底されていなかったことによる人為的ミスが原因とされている。しかし鉄道会社において、運行に支障をきたす程の人為的ミスが起こることは極めて重大な問題である。平然と「人為的なミスだった」と報告する社長の厚顔さにも驚きを隠せない。
北海道新幹線の運行者であるJR北海道は、昨年4月にも青函トンネル内で発煙事故を起こした。乗客は青函トンネル内を5時間も歩いて避難をした。昨年の事故から、JR北海道が新幹線を運行することを不安視する声が上がっていた。今回の避難訓練は、昨年の事故を受けて安全性をアピールするためのものだったが、皮肉にもその避難訓練で更なる不安を呼んでしまった。
JR北海道については、かねてより経営体質や財務体質の弱さを指摘されていた。JR北海道は無事に新幹線の運行者としての責務を全うできるのだろうか。
JR北海道の財務内容が壊滅的・・・
発表によれば、JR北海道管内の鉄道路線は、札幌圏を含めすべての路線が赤字である。鉄道会社が、本業の鉄道事業で赤字を垂れ流しているのだ。また、通常の感覚であれば3月に開業する北海道新幹線で、大きな収益を上げることができると思うだろう。しかし、JR北海道の発表によると、北海道新幹線そのものも赤字なのだという。もちろん新幹線を運行した方が利益が出るという判断があるからこそ、新幹線を運行するわけだが、赤字であるという事実からも安全面での不安を感じる。
JR北海道は「経営安定基金」という国からの補助金を運用することで、その運用益を鉄道事業の赤字に充当することで、経営を成り立たせている。しかし、昨今の低金利状況において運用益もそれほど見込めない。根本の原因は、北海道そのものの人口減少であるため、JR北海道の経営問題は一朝一夕に解決する問題ではない。増収が見込めないとなれば、残るはコストカットのみ。コストカットの手法は2つ。赤字路線の廃止と、人件費や維持管理費の削減だ。人件費や維持管理費の削減はそのまま事故につながる。JR北海道は構造上事故体質から抜け出せないのだ。
北海道新幹線は大丈夫か?
このような状況下では、安心して北海道新幹線に乗ることが出来ない。北海道新幹線は事故を起こさずに運行することができるのだろうか。
これについては、希望も込めて「大丈夫だ」とコメントをしたい。理由の一つに、北海道新幹線はJR北海道だけが責任を追うものではなく、国も責任を負うものだからだ。北海道新幹線は、東海道新幹線や山陽新幹線などと違い、「整備新幹線」と分類される新幹線だ。整備新幹線は、上下分離方式により建設される。上下分離方式とは、線路(下)は国が整備し、営業(上)は鉄道会社が行うという方式をいう。昨年3月に開業した北陸新幹線なども整備新幹線に分類される。
整備新幹線は、国民の税金を使って作られる新幹線である。線路の所有者は鉄道運輸機構という独立行政法人とされる。鉄道運輸機構は国の管轄する独立行政法人であるから、国が責任を持つことと同義だ。その意味で、北海道新幹線は国の指導のもと、しっかりと運行されると考えてよい。
日本の新幹線は、運行開始から今に至るまで、一人の死者も出していない安全神話がある。北海道新幹線によってその神話が崩れることのないように祈りたい。