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「とうとう落ちたか」このニュースを聞いた人の多くは、こんな感想を持ったに違いない。
アメリカ軍普天間飛行場所属の新型輸送機オスプレイが、沖縄県の北部沿岸に不時着し、大破した。
幸い死亡者は出なかったが、これが市街地や住宅街での出来事だったら大惨事を引き起こしていたことは間違いない。
配備される前からその安全性に大きな疑問符が付けられていたオスプレイ。いつかこんな日が来るのではないかと、誰もが恐れていたことが現実になってしまった。
事故が起きたのは、なぜなのだろうか。機体に問題はなかったのだろうか。
墜落なのか不時着なのか
オスプレイが『不時着』したのは沖縄県名護市の東、約1kmの沖合の浅瀬だった。13日の夜9時半ごろのことである。
この事故について、米軍側は、「浅瀬に着水」と発表し、防衛省も広報文で「不時着水」という言葉を使った。しかし、メディアに公開された写真では、機体が真っ二つに折れプロペラも飛び散っている悲惨な状態であり、これはもはや『墜落』ではないかという声が多く上がった。
米軍は、この事故は空中給油中に起きたと発表している。給油機から燃料を送るホースがオスプレイの回転翼に当たり、ホースがちぎれてしまった。そのせいで回転翼にも傷がついてしまい、コントロールが難しくなったため不時着したとの説明である。
パイロットは、万が一の場合に住民に被害が及ぶことを避けるため、沖合の、しかも機体が沈み乗員の脱出が難しくなる海洋上ではなく、浅瀬を選んで着水した。
つまり、着水するまで機体のコントロールが可能であったという状況であるため、これは『不時着』だと表現されるのだ。逆にコントロールが不可能になり落ちた場合には『墜落』となる。
ただし、米軍はこういった事故を矮小化して表現することが多い。日本での事故の例だと、2004年に沖縄国際大学の構内に米軍ヘリが墜落した時にも、尾翼がもげるなどの大きな損傷があったにもかかわらず「緊急着陸」と表現し、さらには「コントロール不能であったのに、人のいないところに機体を誘導し、被害を最小限に収めた」と評価している。
しかし、折れてバラバラになり、プロペラが失われてしまった無残な姿の機体を見ると、それはもう言葉の表現でごまかせるような状況ではないように感じる。
さらに、米軍にはこの事故に関して「感謝されるべきだ」と驚くような発言をしている人物がいるのだ。在沖縄米軍トップであるニコルソン沖縄地域調整官である。
14日に抗議に訪れた沖縄県の安慶田副知事に対し、「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべき」と述べた。さらに「なぜ抗議に来たのか。パイロットへの気遣いがない。政治問題にするのか」と激高したという。
その後、ニコルソン氏は会見で「沖縄の人々に謝罪する」と表明したが、早く事態を鎮静化することを狙った謝罪であることは明白である。
機体に欠陥があるのか?
オスプレイは、本国では「未亡人製造機」という不名誉なあだ名を付けられているほど、これまでにも何度かの事故を起こし、多くの死亡者を生んでいる。
その為、以前からその安全性には疑問の声があった。オスプレイはヘリコプターと飛行機の機能をあわせ持つことが大きな特徴だが、上空でプロペラの角度を変化させる構造が機体の不安定さを生み、それをコントロールするためには相当な操縦技術が必要だとされている。
ただ、これまでの事故が全て操縦ミスにより起きたものであるというのには、やはり無理があるのではないだろうか。
今回の事故の他に、別の1機が普天間飛行場で胴体着陸をしているという。このことから、安慶田副知事は、オスプレイは欠陥機であるとし、直ちに飛行を中止し配備を撤回することを求めた。これは翁長知事も同じく訴えており、「このような事故を受けてオスプレイが飛ぶ状況は看過できない」とも述べている。
これに対し政府側は、あくまでも訓練に起因する事故であるという見方であるようだ。
しかし、事故の真相を探るのには大きな障害がある。日米地位協定により、事故機の残骸は米軍が保管する取り決めがあり、日本側が主体となって捜査することは非常に難しいのである。
米軍はこの事故を受けて、オスプレイの飛行を当面停止するとしているが、ほとぼりが冷めるのを期待しているとしたら、それは大きな誤算である。
事故原因の究明、情報の公開。最低限それがかなえられないのならば、沖縄県のみならず、日本各地で住民の反発が起こるだろう。