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創業約80年を誇る老舗の音響機器メーカー・パイオニアが上場廃止となった。
2000年代に入って以降、経営が悪化していたパイオニア。
今後は、香港ファンドの完全子会社となり、再建を目指していく。
こうなってしまった原因は何であり、今後は大幅なリストラも断行されるのだろうか。
Contents
パイオニアはどんな企業?
創業80年の音響機器の老舗
パイオニアは、1938年に創業された老舗の音響機器メーカーだ。
初の純国産ダイナミックスピーカーを開発し、福音商会電機製作所として創業された。
その後、福音電機株式会社を経て、パイオニア株式会社に社名を変更している。
日本で最大手の音響機器メーカーとしての地位を確立し、世界にも進出していったのだ。
音響撤退から車載機器の専業に
音響機器メーカーとしての地位を確立したパイオニアだが、時代の流れによって厳しい状況に陥っていった。
廉価な音楽プレーヤーやスマホが登場したことで、音響機器市場が厳しくなっていったのだ。
2000年代になると経営は悪化し、家庭用音響機器事業から撤退している。
その後は、車載機器の専業となり、カーナビなどのカーエレクトロニクス分野に注力を注いだ。
しかし、カーナビもスマホが代わりになり始め、厳しい状況を打破することはできなかったのである。
そして今後は、香港ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」の完全子会社となり、再建を目指していくことになっているのだ。
買収した香港ファンドって?
「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」とは
パイオニアを買収した香港ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」とは、どんな企業なのだろうか。
この企業は、本社の香港の他にも、北京・デリー・東京・シンガポールなどに拠点を持っているアジア最大級のプライベート・エクイティ・ファンドだ。
運用資金額は160億米ドルを超えており、事業拡大や資本再構成、M&Aに必要な資金をアジアの企業に対して投資している。
これまでに日本企業へは、ホームセンターの「ジョイフル本田」や食事クーポン券大手の「バークレーヴァウチャーズ」などへの投資実績がある。
ハゲタカファンドって?
「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」は、ハゲタカファンドと言われることがある。
ハゲタカファンドとは経営状態が危機的状態の企業に対して積極的に投資を行うファンドのことだ。
事業に失敗し、経営状態が危機に瀕している企業を買収し、企業再生させて儲けるのである。
今回のパイオニアの件も、同じことが言えるだろう。
経営状態が悪化しているパイオニアを買収し、再生させることができれば儲けることができるのだ。
日本では、ハゲタカファンドには悪いイメージがあるかもしれない。
しかし失敗した企業としては、経営再建を目指すことができるチャンスなのである。
売上が下がった原因は?
時代遅れのカーナビ
パイオニアの売上が下がった原因は、カーナビが時代遅れになりつつあること。
家庭用音響機器から手を引き、カーナビなどの車載機器の専業になったパイオニア。
しかし今の時代では、高価なカーナビを使用せず安価なスマートフォンやタブレットなどで代用が出来てしまう。
つまり、時代に合わなくなったカーナビ市場全体が不況になっているのだ。
時代遅れになったカーナビがパイオニアの事業の主幹だった以上、売上が下がっていくのは当然の流れだったと言えるだろう。
競争法・特許訴訟関連でも損失大
パイオニアの経営をさらに厳しくさせたのは、競争法・特許訴訟関連での巨額の損失だ。
昨年、欧州連合の競争法違反の疑いで調査を受けたパイオニアは、2018年4月~6月期連結決算で1000万ユーロ(約13億円)の特別損失を計上した。
さらに、特許訴訟関連損失でも20億円超を計上しており、合計30億円超の損失をだしている。
企業にとって特許訴訟関連は金額以上に人員を割かれるという、大きな痛手になるのは間違いないだろう。
このように一連の流れも経営状態を悪化させる一因になったのである。
大幅リストラはある?
重くのしかかる人件費
「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」の子会社として再建を目指していくパイオニアだが、経営再建を目指していく上で重くのしかかってくるのが人件費である。
パイオニアの社員は約1.6万人であり、平均年収は約750万円となっている。
大手企業なだけに、社員の数も多く人件費が巨額になっているのだ。経営再建では、まず人件費削減をするのが常套手段である。
事実、森谷社長は3000人規模の人員削減や事業整理を検討していると発言している。
パイオニアでも、人件費削減のためのリストラは避けられないだろう。
リストラは回避できず
パイオニアがリストラを回避する術はない。
経営再建をするためには、大規模なリストラになることが予想されている。
今後、パイオニアは財政基盤安定を最優先にするとみられており、人員削減や拠点の統廃合などが進むとされている。
パイオニアの社員としては、厳しい現状が待っていることだろう。
まとめ
創業約80年の老舗であるパイオニアが上場廃止となった。
今後は、「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」の完全子会社となり経営再建を目指す。
パイオニアが経営危機に陥った原因は、事業の中心だったカーナビの不振や競争法・特許訴訟関連損失が挙げられる。
これからパイオニアでは、経営再建を目指して人員削減が行わるだろう。
大規模なリストラは避けられず、パイオニア社員としては厳しい状況が待ち受けている。
それでも森谷浩一社長は「サポートしてくださっていた株主の皆様には申し訳ないが、この改革をしなければパイオニアの未来はない」と覚悟を示した。
今後パイオニアの経営再建により、再び世界に冠する企業となれる日は来るのか目が離せない。