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プエルトリコが破産したとのニュースが報じられた。
7兆8000億円もの破産だ。世の中で、合計7兆8000億円もの金を失った人間がいるということだ。米国の自治体の破産としては過去最大規模。大きな波紋を呼びそうだ。
今回の記事では、なぜプエルトリコが破産するに至ったのか、そもそもプエルトリコとはどういう国か、プエルトリコは今後どうなるのか、日本への影響はあるのか、こういった観点からわかりやすく解説していきたい。
プエルトリコ破産の理由は?
実は、プエルトリコはすでに2015年頃から破産するのではないかと囁かれてきた。
2016年1月1日に償還期限を迎える債務を、支払わないと宣言していたのだ。簡単に言えば、借金している人が返済期日直前に「お金ないんで払えないです」と宣言して居座るのと同じだ。
プエルトリコの知事はこのようにコメントを出している。
「債権者との合意に基づく再建を目指したが、交渉がうまくいかなかった。最善の道は、法律の手続きに沿って債務を管理することだ」
という。
実際にどういう交渉が行われたのかは不明だ。よく言われるのは、「借金は少額なら借り手が卑屈になるが、あまりに巨額になれば貸し手が卑屈になる」ということ。
どこの国の法律にも「破産」という概念が定められている。全ての財産や債務を放棄する手続きだ。金を貸した側は、破産されたらたまったものではない。今まで貸していた金が一銭も返ってこなくなるからだ。
普通、ある程度少額の借金であれば、破産することもリスクであるためがんばって返すのだが、巨額になれば「破産してやるぞ」という脅しが効くようになってくるのだ。
ただ、債権者からどのような譲歩を引き出そうとも、プエルトリコはにっちもさっちもいかない状態だったことは明らか。破産は遅かれ早かれということだったのだろう。
プエルトリコってどんな国?
プエルトリコは、アメリカの「コモンウェルス」という位置づけの国だ。国防や外交などはアメリカの責任で行われるが、内政はプエルトリコが自ら行う。アメリカの「州」よりも独立性が認められているのだ。
プエルトリコ内でも、完全独立派・アメリカ併合派・自治派(現政権)と分かれている状況だ。
日本の鹿児島県と同じくらいの面積の島国で、観光産業が盛んだった。アメリカの領土になってからは、税優遇などで企業が進出して栄えた時期もあるが、アメリカ経済の後退とともにそうした優遇措置も少なってきた。
観光地としても微妙な位置づけで、国を成り立たせる経済基盤が失われていたのだ。プエルトリコからアメリカへ出稼ぎに行った人の送金なども収入源の一つで、不安定な経済状況だったことは間違いない。
そもそも収入が少なくて、支出が大きければ、どうあがいても財政再建などできない。プエルトリコ破産が時間の問題だったというのは、そういう状況を受けてのことだ。
プエルトリコは今後どうなる?
プエルトリコが今後どうなるかは、現在のところ不明だ。しばらくはアメリカの連邦判事のもとで、債務整理が行われる。債権者たちは、アメリカと直接交渉をすることになる。
こうなってくると、プエルトリコの完全独立の道はほぼ絶たれたと判断せざるを得ないだろう。
財政破綻は、ある意味内政の失敗でもある。外的要因も大きいだろうが、プエルトリコは完全にアメリカの統治下におかれることになると推測される。
しかし、それに伴って、あくまでプエルトリコの完全独立を願う人々は、なんらかの行動を起こす可能性がある。それがデモ程度で終わるのか、大きな争いになるかは現状わからない。
いずれにせよ、プエルトリコへの渡航などは気をつけたほうが良さそうだ。
プエルトリコ破産で日本への影響は?
では、プエルトリコ破産による日本への影響はどのようなものがあるだろうか。
直接的に日本の投資家がプエルトリコの破綻の影響を受けるとは考えづらい。あっても限定的だろう。日本から直接プエルトリコへ投資している例はあまり聞かないからだ。
ただ、実際にプエルトリコに投資している海外の機関投資家が存在する。彼らが損害を受ければ、他の投資に影響が出て、波及して日本へも影響も見られるはずだ。
約8兆円という金額をどう評価するか、という問題はあるが、アメリカにとって少なくない打撃。これによりアメリカ全土で投資を控えるリスクオフの動きが出れば、安全資産と言われている円が買われる可能性がある。そうなれば円高だ。
現時点では、プエルトリコの扱いをどうするかが定まっていないため、為替にただちに大きい影響が出ているわけではない。連邦判事がどのようにプエルトリコを扱うかで、動きが出てくるだろう。
今後の動きからは目が離せない。