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九州全域の電力供給を担う九州電力が、太陽光発電の業者に対して、日本本土としては全国発となる「出力制御」を行う可能性があることを公表しました。
今回は、九電の「出力制御」はなぜ行われるのかということについてまとめていきます。
電力供給量が多いと大規模停電につながる?
報道によると、電気の需要と供給が崩れると、大規模な停電が発生してしまうということを伝えています。
需要に対して供給量が追い付かなくなり、停電するのは理解できますが、需要に対して供給がオーバーした場合でも停電が起こるというのはなぜなのでしょうか?
その理由は電力の「周波数」にありました。
電気の需要を超えて供給されてしまうと、電気の周波数が変動し、大規模な停電になってしまうというのです。
周波数というのは、専門用語でいうと「商用電源周波数」のことで、東日本は50Hz、西日本は60Hzの周波数が決まっています。
東京で購入した古いタイプのヘアドライヤーが九州では使えなくなってしまうのも、この周波数の違いが原因です。
周波数は一定の周期で変化している交流電源の1秒間に繰り返される振動のことです。
これが変動してしまうと、自宅にある家電製品などに不調をきたし、最悪の場合、故障などを引き起こしてしまう場合もあります。
九州電力ではこの60Hz周波数を安定的に保つために、太陽光発電の業者各社に国の法律で定められた「出力制御」を適用するというのです。
九電は供給量のバランス調整に何もしなかったのか?
「出力制御」を適用させようとしている九電は、何も対策をしていなかったわけではありません。
太陽光発電の電力量の増加に伴い、原子力発電の発電量や、火力発電など、これまで九州の電力事情を担ってきた発電方式の稼働を抑えてバランスをとることをしています。
しかし、2018年の酷暑は、想定していた量を大幅に上回る日照度があったことで、九電の企業努力だけでは、供給のバランスが取れなくなりました。
今回の報道にある「出力制御」は、電力の周波数を守るための九電しか持ちえない最後の手段です。
出力制御が適用されるのは、電力需要が下がる秋口9月中旬から10月上旬まで行われる見込みです。
九州管内には、全部で4基の原子力発電所があります。
津波事故のあった福島原発のこともあり、九州でも原発アレルギーは多くの人が持っています。
実際に、鹿児島県薩摩川内市にある川内原発について、九州では周辺住民による訴訟も起こっています。
東日本大震災の時に運転を停止した川内原発ですが、日本政府が決めた新しいルールによって、2015年8月と9月に再稼働がされました。
新ルールで再稼働が決定した原発の最初の再稼働だったこともあり、日本のみならず、世界各国から注目された再稼働でした。
しかし、その新しいルールの策定方法に疑問が残り、新しいルール上では再稼働OKとしているものの、不透明なルールの上に原発があることをよしとしない周辺住民が再稼働を中止する訴訟を起こしました。
結果的に周辺住民が敗訴という形で締めくくられましたが、今回の太陽光発電の出力制御によって、周辺住民の稼働の再中止が求められるのは必至でしょう。
ただ、一つ懸念されるのは、現状稼働している原発を電力供給が多いからと言って稼働を止めても問題がないのかという点です。
日照度は、言い方は悪いかも知れませんが、ある意味では「ギャンブル」です。
毎年毎年、2018年のような日照度が得られるという保証があるわけではありません。
出力制御を適用したからと言って、将来の電力事情が未来永劫安定的になるということはありえません。
報道では、周辺住民の反発についても述べていましたが、目の前のことだけを見て、物事を判断するのはいささか不安が残ります。
たしかに、九州では太陽光発電が盛んで、他の地域に比べても太陽光発電の供給量は多いのは事実です。
しかし、冬の暖房などで電力が多く使われることに関しては誰も着目していません。
夏が酷暑になると、冬は相対的に寒かったり、雪が降ったりします。
その際にお世話になるのは、電力を使ったエアコンや、融雪機器です。
その時その時を見て判断するのではなく、1年を通して今回の出力制御の可否を判断するべきなのではないでしょうか?